PORTAL TOKYO
外国駐在・滞在経験が豊富な人たちの,生きた英語に関する話題
役に立つ英語(11)

河田 東海夫



ゼロとオウ

 米国が東海岸側で母国英国と独立戦争をしていた18世紀後半、カリフォルニアにはメキシコを征服したスペインから送り込まれた修道士たちが、約50kmごとに日乾しレンガで修道院を建設し、サンディエゴからサンフランシスコに向かって北上していった。それぞれの修道院を結ぶ全長約1,000kmになる街道は、El Camino Real(エル・カミノ・レアル)、「王の街道」と呼ばれた。この歴史的街道は現在では101号線というハイウェイになっている。現地の人はこれを「ワンノウワン」と呼ぶ。「ワンハンドレッド・アンド・ワン」とはいわない。1−0−1と分解し「ワン・オウ・ワン」と読むわけである。「ワン・ゼロ・ワン」ともいわない。
 英語圏では、複数桁の数字を読む場合、下から二桁ずつにわけて読むことが多く、1986年は、19−86と分け、「ナインティーン・エイティシックス」と読む。ホテルの部屋が317号室なら、3−17と分け、「スリー・セブンティーン」となる。320号室なら、3−20、「スリー・トゥェンティ」である。しかし、305号室と間に0(ゼロ)が入ると、普通3−0−5、「スリー・オウ・ファイブ」という。このような場合、ゼロはゼロと読まず、アルファベットの"o"、すなわち「オウ」と読まれることになる。英国の秘密諜報員ジェームズ・ボンドのコード番号007はあちらでは「ゼロ・ゼロ・セブン」ではなく、「ダブル・オウ・セブン」である。「オウ」が二つ重なるので「ダブル・オウ」というわけである。
 一般的に数字が番号として使われる場合、ゼロは「オウ」と読まれる場合が多いが、数値として意味がある場合にはゼロは「ゼロ」(発音は「ジェロ」に近い)と読まれる。例えば、「零下15度だった」と言う場合は、「It was fifteen degree below zero.」という。ここは「ビロウ・ジェロ」で「ビロウ・オウ」とは言わない。原爆の爆心地や、9.11(注)の貿易センタービル跡地は「Ground Zero」という。これは「本当の中心からゼロ・メートル(あるいはゼロ・フィート)のところ」を意味し、このゼロは数値として意味をもつゼロだからである。

(注)これは米国では「ナイン・イレブン」といわずに「ナイン・ワン・ワン」という。米国の電話番号911は日本の110番に相当する緊急時ダイアルで、「ナイン・ワン・ワン」と呼んでいる。この読み方の習慣が9.11にもそのまま適用されている。



Copyright©2005 PortalTokyo.Inc. All rights reserved.